自然環境は
毎年変わる。
だから
常に試行錯誤。

〜海苔ができるまで〜


せのお水産では、
1年を通して、
常に海苔のことを考えています。
海苔の漁期がはじまるのは十月。
そこから翌年の三月まで、
一年のやってきたことの
総決算をむかえます。
せのお水産の海苔が
みなさんに届くまでを
ご紹介します

 

せのお水産の1年

せのお水産では、従来の「スサビノリ」と、近年養殖に成功した「養殖岩のり」を生産しています。この2種類の海苔は、生育時期が約一ヶ月ほどずれています。そのため、一番忙しい時期には、2種類の海苔の作業工程が重なり、種付けや加工などの作業を同時並行することもあります。漁期はその年の気候によって変動し、早い時期には一ヶ月間しか収穫できない年もあり、また3月ギリギリまで収穫をする年もあります。3月には終了しますが、そこからは次年度に向けての準備が始まります。せのお水産では1年を通して、常に海苔のことを考えています。

 

準備のはじまり

毎年5月ごろから、9月から始まる海苔養殖に向けて、準備を始めます。


海苔網洗い 5月〜

冬の種付けに向けて準備が始まります。まずは海苔網洗い。丁寧に洗って外で干します。この期間は、漁業は鯛網漁などもしています。

 

 
重ね網の準備 7月〜

重ね網の準備。網のやぶれの補修などを行います。海苔の漁期のための道具などを準備します。

 

 

漁期のはじまり

種付け作業に始まり、育苗、単張り、収穫まで。自然状況を見ながら、海苔と対話する毎日が始まります。


人工採苗  
9月下旬(岩海苔)/10月下旬(スサビノリ)

海苔の胞子(種)は、20~30ミクロンほどの大きさで、普段はカキ殻の層の間に潜んでいます。日照時間、水温などの条件をそろえ、水槽の中に胞子を放出し、回転する水車に網を巻き、胞子を付着させます。この時まだ網は真っ白で、海苔は肉眼では全く見えません。採苗した網は、冷凍保存し、水温などの条件がそろうのを待ちます。(※1ミクロンは1000分の1ミリメートル)

 


育苗
9月下旬(岩海苔)/10月下旬(スサビノリ)

水温が21℃以下になったら、20枚ほど重ねた網を海上に出し、のり芽を大きく育てます。海苔は比較的乾燥に強いため、人工的に網を海面から上げたり下げたりすることで、海苔以外のケイ藻類が育たないようにしていきます。この作業を「人工干出」といい、毎朝6時から9時ごろまで海に出ます。

 


単張り
10月下旬(岩海苔)/11月下旬(スサビノリ)

育苗した網は、再度冷凍保存します。水温が18℃以下になったら、今度は網を1枚ずつ海上に出します。約3週間ほどで収穫できるくらいに育ちます。せのお水産では毎年およそ2000枚の網を張っています。

 


収穫
11月下旬~2月下旬(岩海苔)
12月下旬~3月下旬(スサビノリ)

刈り取りは早朝から行い、網に伸びた海苔を「もぐり船」と呼ばれる専用の船で刈り取ります。最初に摘んだ海苔はやわらかい初摘みとして珍重されます。色つやもよく、とろけるような味わいが特徴で、せのお水産ではこの初摘みの海苔を使用して、オリジナル商品を作っています。11月からは伸びては刈るの繰り返しです。12月で終了する年や、3月ギリギリまで生産した年もあり。人の手を尽くしても最後は自然にゆだねるしかありません。

 

 

加工・出荷

美味しい海苔を、美味しい状態で、皆様にお届けするために加工から検品、出荷まで、丁寧に行います。


バラ干し加工(岩海苔)

収穫した岩のりは、摘んだ海苔をそのままの形で乾燥させます。そのため岩のり本来の旨味や香りがそのままぎゅっと凝縮されます。異物がないかを入念にチェックして、検品・出荷にうつります。

 


抄き加工(スサビノリ)

収穫した生海苔は、船からそのまま港近くにある加工場に送られます。ミンチ状に細かく切った後、真水で洗い、機械で抄き・脱水・乾燥・剥ぎという工程を行い、みなさまにおなじみの板海苔になります。
海苔を収穫する11月から3月の間は、加工場が24時間フル稼働しています。

 


検品・出荷

形状異物選別機で板海苔をチェックし、異物がないかを確認します。検査を通ってやっと海苔が完成です。お買い求めいただくみなさまの食卓をイメージしながら丁寧に検品する人の目も欠かせません。
100枚ずつに束ねられた板海苔は、箱詰めして共同販売所に出荷します。せのお水産で製造した海苔のほとんどは、ここで競りにかけられ、落札した加工業者で最終的な製品になり、みなさまの元に届いています。生産・収穫から加工までが海苔漁師の仕事なのです。

 

次年度に向けて

漁期の終わりに差し掛かると、昨年度の反省を踏まえながら次年度に向けての種の選別を行います。


次年度の種の選別、決定
2月

昨年度の反省をした上で、次年度の種を選別、決定します。
年によって変わる環境の変化を、
ある程度予測しながら、次年度の方向性を決定します。

 


漁期終了
3月


3月末には養殖の設備を完全撤去します。
その年の自然条件によって、漁期は毎年変動するので3月ギリギリまで収穫を行う年もあります。